こんにちは、NY鮨職人の金治です。
2024年1月下旬にNYに来ました。日本でE2ビザを渋谷の就職先の会社のサポートを受け2ヶ月で取れました。因みに私は、50代です。
簡単な経歴
学もなく高校卒業してバイクレースを47歳までする。
2001〜2003年、3年連続全日本チャンピオンを獲る
2004年からアメリカ最高峰のプロライセンスを獲得し、ナショナル最高峰プロクラスで10シーズンに渡りスポット参戦をする。参戦場所は、イリノイ州、オハイオ州、ウィスコンシン州、インディアナ州、アイオワ州、ケンタッキー州、カンザス州、ジョージア州、フロリダ州等でした
そしてレース引退後47歳で初めて普通の社会人となり海外鮨職人になる野望を抱え銀座の高級鮨店に就職をして修行を開始する。
その後、シンガポール、マカオ、ドバイ等の高級鮨店で働き、現NYの安価な和食店の鮨部門の責任者になり働いており、年収1千万円超えを実現した。
この記事を読んでわかること
・海外で与えられた魚を上手に美味しく仕上げるマル秘の仕込み
・間違いな魚の保存の仕方、そしてその理由とは
・ドリップで変色させない意外な方法
・マグロだけは違う保存の仕方
・マグロからドリップを出さない解凍の仕方、冷凍の仕方
・白身とマグロのそれぞれのマル秘の仕込みの仕方
・冷蔵庫の冷却よりか氷水プールの方が断然身体は冷える
・海外で与えられた魚を上手に美味しく仕上げるマル秘の仕込み
海外、欧米地方では刺身で食べられる鮮魚はとても貴重です。海外の高級店はほぼ豊洲から氷漬けになった重い発泡スチロールに入った魚を高い送料を支払って直送で仕入れております。高級店以外は、現地の日本人の鮮魚サプライヤーから仕入れておりますが、それとて決して安くはありません。そんな貴重な魚を日にちが経ったからと言って簡単に破棄する事など出来ません。
かと言って品質の落ちた魚を寿司ネタにする事などできる訳がありません。ではどうするか?その答えは熟成させる事と品質の落ちない方法で保存をする事です。正しい管理保存をば採れたての魚よりも旨味が周り何十倍も美味しくなります。そして柵取りした魚も私がやっている保存の仕方をすれば、魚特有の臭みも出ず品質は良いです。
ではどういう仕込みの仕方、保存をしているのかと言いますと、まず魚が来たら血抜きをします。すでに血抜きをしてある魚もありますが、もう一度します。そして使用する分の半身のみをカマ付きのままおろし、砂糖と粗塩を半分ずつ入れた合わせたものを捌いた魚の両面に充てます。塩を充てた魚にラップはしないで冷蔵庫のファンの近くに置き2時間〜3時間乾燥させます。時間が経ったら薄い塩水で洗います。かんぱち、ぶりは51度の塩を入れた湯で洗い氷水で急冷させて、よく水気を取り、再びラップをしないで3〜5分間乾燥させます。そして、皮面に5センチ位の小さいペーパーを当ててきちんとラップをして袋に入れてストローを使い口で真空にしてそれを2枚重ねそれを2枚重ねをして氷水プールに沈める。この状態にして軽く熟成させて使う。
・間違いな魚の保存の仕方、そしてその理由とは
一般的に魚を保存する時は魚の身から出てくるドリップを吸わせるためにキッチンペーパーやリードペーパーに包みその上からラップに包む方が大半だと思いますが、それでは魚が持っている旨味も一緒に吸い取ってしまいます。要はドリップだけ吸い取れば良いのでペーパーをぐるぐる巻きにする必要はありません。この方法で魚を管理している店舗がほとんどだと思います。仮に疑問を持ったとしても先輩方が積み上げてきたそのお店のやり方を早々簡単に変えられる程日本の寿司店のスタッフの方々は柔軟性は持ち合わせてはいないと思います。
それを変えるには、貴方が責任者になるしか方法はないのかも知れません。只、高級店のスタッフの方々だと常にアンテナを張ってより良い美味しくなる仕込みの仕方を考えてブラッシュアップしている人も少なくはないので、やはり高級店にかなう店はないと思います。私がいる店舗は、私が常に色々検証しながらより良いやり方を試し見ています。正直失敗する時もあります。ですがそれらが全て自分の経験として蓄積ができる為最終的により良い物が作れる可能性が高いです。
・ドリップで変色させない意外な方法
では、どのようにして保存すれば良いのかと言いますと、皮部分か若しくは柵の先頭部分か尾の部分に3センチ位のペーパーをあててあげれば良いです。これでドリップは吸い取れます。変色もしません。ペーパーを全面に充ててしまうと、使用する時魚の柵はカピカピに水分を吸い上げしきってしまいそんな魚美味くともなんともないです。
・マグロだけは違う保存の仕方
只マグロの柵だけはこれには該当しません。正直まだ答えが出ていません。マグロはしっかりキッチンペーパーを充ててしっかりラップで包まないとどうしても変色してしまいます。旨味まで吸い突しまっているのは分かるのですが、ペーパーを巻かないと変色が止まりません。そして氷水プールも良くないです。どうやって保存をしているかと言いますと、白身と同じ様に真空して発泡スチロールの中に氷だけ入れその中に真空したマグロを入れます。その発泡ごと冷蔵庫にしまい、1日経つと氷が溶け出しますので、必ず水は抜きます。
・マグロからドリップを出さない解凍の仕方、冷凍の仕方
後冷凍マグロを解凍する時は、30℃位の湯でマグロカスを洗い、その後3%の塩湯に3分漬けてから漬けてから水分をよく拭き取り、真空してガチガチの氷水の中に入れて解凍します。この解凍の仕方が細胞からドリップが出やすい−1℃〜−5℃をゆっくりと通過させる事でドリップは控えられます。逆に冷凍をするときはこの温度帯は出来るだけ速く通過させないと細胞は水分が膨張した物で細胞は破壊されてしまいます。となった時に解凍した時にドリップはでまくります。その様な理由で−60℃まで急激に凍らせられるストッカーが必要になってきます。
その他にアルコール瞬間冷凍法などもあります。この方法が今のところ最強かも知れません。
・白身とマグロのそれぞれのマル秘の仕込みの仕方
白身の仕込みの仕方は上の欄に記載した様に塩を充てて2~3時間冷風に充てるやり方です。浸透圧で臭みや余分な水分を出させますが、その魚の種類や脂の状態で塩の量や冷気に充てる時間は調整します。子肌の仕込みの要領と同じです。
マグロ
マグロは簡単です。生マグロの塊を裸にしてまず血あいを取り赤身を外します。柵どりしないで塊のままペーパーに包みきちんとラップをして袋に入れ真空します。氷のみ敷きつけた発泡スチロール入れて、そのまま冷蔵庫に入れます。
赤身を外した残りの大トロ、中トロ部分はなにも包まずにラップもせずに裸のまま冷蔵庫内のファンが回っているすぐ近くにバットに乗せて下だけ血を受け止める為のペーパーを敷き乾燥熟成させます。1日事にファンを当たっている部分を変えたいので方向転換させます。そうすると10日くらいするとかさぶたの様に周りはカチカチになってきます。ですが中は全く変色はしていなく、熟成しております。
そして使う分だけ柵取りして周りの固くなっている部分だけを切り使用します。そして切った部分だけピッタリと空気が入らない様にペタッとそこの面だけラップを貼り付けます。その繰り返しです。
通常ならば柵ドリをして残りはペーパーに包みラップ、真空をして氷の上に置いて保管したり、全て柵ドリをしてマイナス60℃のストッカーで冷凍させたりします。その様なやり方をした場合先ず、塊を氷の上に保管した場合は使い切るまで色がくすんで黒くなってきます。
柵どりして冷凍させた場合は、解凍がさせたのを丁度その日に使い切れれば問題はないですが、普通冷凍品を使う場合、若干余裕を持って多めに解凍したりします。そうしないと営業中に足りなくなった時に解凍するのを待っている時間はありません。もしそうなった場合ドリップがふんだんに出てしまう流水解凍という方法を取るのかと思いますが、となった時には自信を持ってお客様に提供はできないマグロに仕上がってしまいます。こういう小さなマイナスが重なった時にお客さんが離れていってしまいます。
この2点の問題点を解決したのが乾燥熟成です。只、私は赤身は乾燥させません。他の方は赤身ごと完納させていますが、脂身がない部分なので乾燥し過ぎてしまう気がします。・
冷蔵庫の冷却よりか氷水プールの方が断然身体は冷える
これは簡単に理解していだだけると思いますが、もし自分自身がマイナス1℃の外気の所にいるのと、マイナス1℃の冷水プールの中に入っている場合どちらが耐えられるか?想像してみれば分かると思います。冷水プールは身体中満遍なく冷刺してくれます。それが魚にとってものすごく鮮度を保つのに需要なことです。
まとめ
海外で鮮魚を使用する際日本国内と同じ鮮度や状態を希望する事はは難しく、高級店に勤務していた時は豊洲からの直送便で来ておりましたが、氷が溶けていたとか、魚の内臓がドロドロだったとかはよくありました。そんな時に魚を少しでも美味しくできる方法を今も模索しておらます。今回の記事が貴方の為になれましたら幸いでございます。