こんにちはKinjiです。
もしも、朝あなたの店に来た魚に脂が乗っていなく残念な魚でしたらどうしますか?
しょうがないという思いでお客さんの目の前で妥協しながら握りますか?
そんな想いで握りたくないですよね?
これをすれば妥協をしなくて自信を持って目の前のお客さんに寿司を提供できます。勿論その魚を使ってある方法をするだけで寿司の美味しさが爆上がります。
それを私の経験からお話しします。
私(衛藤金治)は、18歳から40代まで、アメリカナショナル戦の最高峰のプロクラス、国内は全日本3年連続チャンピオンを獲得し、レース引退後、
銀座高級寿司業界に移り、星つきのお店「鮨かねさか」に就職して
下っぱから始め、その後シンガポール、マカオ、バンコク、NY、ドバイ等各星つき高級寿司店で働いて来た経験からお答えします。
この記事を読んで分かること
・寿司のレベルの上げるを上げる方法
・シャリの大切な位置付け
・シャリに合うお米の銘柄
・シャリ用ご飯の炊き方
・シャリの温度管理、賞味時間
・シャリの品質を維持させるベストな保温の仕方
一流の寿司店がやっている寿司のレベルを何倍も引き上げる方法
冷えたコンビニの鮭おにぎりと、炊き立てツヤツヤご飯の塩だけのおにぎり、どちらを食べたいと思いますか?。私なら断然炊き立てツヤツヤ飯の塩おにぎりです。ご飯の品質が良ければ塩おにぎりが鮭おにぎりを負かせるのです。これぞご飯の底力です。それをシャリにも適用させるのです。
結論を言います、シャリの温度管理と賞味時間管理これをきっちり行えば、ツヤツヤ塩おにぎりが鮭おにぎりに勝てるように、寿司のレベル上げられます。
つまりイマイチな魚でもシャリを良くすれば寿司のレベルはグンと上がるという訳です。何故か?簡単な理由です。炊き立てのツヤ飯の上に明太子を乗せたらどうですか?美味しいと思いませんか?
明太子がなくてもツヤツヤ飯に焼肉1枚乗せただけでもご飯茶椀1杯食べれますよね?それと同じ事をすれば良いのです。ツヤツヤ感のあるしっかりと管理なさっているシャリを使えば寿司のレベルは飛び抜けて上がります。
そのレベルを上げるのに肝となる大切な事は、シャリの徹底した温度管理と時間管理です。
『そんな事を言われても勤めてるお店のやり方やルールがあるから勝手な事はできないよ』と思われるかも知れません。確かにそうです。ごもっともです。その様な場合の方は、こういうやり方もあるという思いで読んで下さい。あなたが料理長、若しくは調理の責任者になった時に試して頂ければ良いと思います。
更にシャリのレベルを上げなくてはならないもう一つの理由
シャリと魚のバランスはとても大事ですが、高級店以外の店舗は、シャリのレベルを落としていると感じます。シャリを良くすれば寿司としての総合点は大分上げられます。
近年日本付近の海水温度が上昇してきている影響で日本近海には魚が住みにくくなり、冷たい海水を求めてロシア、韓国に流れて行っています。
例えば今年秋刀魚が豊漁とメディアで言っておりますが正しくはないです。秋刀魚は1990年前後には30万~40万トン獲れていました。現在は不漁が続き、2022年は、水揚げ量は過去最低を更新していいて2年連続で2万トンを割り込んだままです。その昨年の最低限の水揚げに対して今年の水揚げは昨年の倍と言っているだけです。
つまり実際には2023年の漁獲数量が、昨年の2倍の4万トンになったとしても、1990年前後には年間30万~40万トン漁獲されていた数量の10分の1です。
それと海外での寿司の需要が上がり、豊洲市場で高値が付いている最上級の魚は海外に流れています。良い魚は海外の寿司店に買われている。本当に国内寿司店の今後は厳しい状況下になると思います。
そこで、米の文化のある日本での優位性を生かしてシャリを見直して今よりも更に美味しい状態で提供できる様になれたら良いなと思います。
一流の寿司店で使用しているお米
岐阜県しか存在しない幻の米と名高いハツシモ、
ササニシキ、秋田小町、ひとめぼれ、にこまるets
シャリとして使うお米で一般的なのは、ササニシキ、秋田小町、ひとめぼれ、にこまる(米粒が大きくてシャリに適合)、滋賀県の日本晴れ、岐阜の初霜、等です。これらのお米とあまり名前が知れていないお米と比べますと味が雲泥の差です。
天下のコシヒカリに関しては粘りが強く柔らかめで寿司店では使わないお店は多いいですが、あえて使っているお店もあります。
一流の寿司店で選ばないお米
それは新米です。新米は普通にご飯として食べるのは、水分量が多くしっとりしていてとても美味しいです。しかし、シャリ用となると話は変わります。コメ内部に多く水分が含んでいる為、合わせ酢を投入した時にご飯は酢を吸いづらく酢は、ご飯の内部に浸透してくれないです。
となった時に、シャリはベチャベチャになってしまいます。
ですので、一流店は新米は使いません。
米の味を左右する保存方法
お米の正しい保存の仕方は、香港で日本米の輸入業の方から教わりましたが、必ず冷蔵保存して下さいと言われました。これはお米の酸化スピードをゆっくりさせる為です。お米は酸化していけば味は確実に落ちます。直射日光や高温で乾燥して酸化していきますのでそれを防ぐために冷蔵庫内で管理するのです。
そしてもうひとつ、袋の破裂や荷崩れを防止する為、米袋には小さな穴が空いております。ここからどんどん酸化してしまいますので、お米を購入しましたら別の袋に入れ換えてストロー2本を使い軽く口真空をした方が味落ちがなく、いつでも美味しいご飯が食べれます。
最高のシャリ用ご飯を炊く 5ステップ
シャリを作るまでの一連の作業内容はおおむね変わりはないかと思いますが、私が今まで教わった中で一番いいと思う炊き方を記載します。
① 計量
米を測る時は、計量カップを使うのではなくてデジタル計りの上にボールを置き計量する。
米はザルに入れてボールとセットで洗米しましょう。後、シャカシャカ洗わない様に。米が割れる原因を作ってしまいます。
割れた米は最悪です。粘りが出る、食感が悪くなるので洗米は手のひらで米を泳がすくらいで良いです。その動作を水を入れ替えて2回から3回水を入れ替えて終了です。洗米は上っ面のゴミを取る位の気持ちで良いです。
普通のご飯を炊く為に洗米する時でも水が透明になる迄洗米をしては駄目です。米の旨み香り出汁を洗い流していると思って下さい。今は昔と違ってそこまで洗う必要はないです。
② 洗米
洗米が終わりましたら水を適当な水量で1時間浸けましょう。
季節云々関係なく冷蔵庫内で1時間浸水。お米が真っ白になっているかを判断基準にして下さい。ここで一つ手間だと思う方はご飯を炊く前夜とかにボールやタッパに浸水させて冷蔵庫にしまっていれば時短になります。一晩浸水させても仕上がりは何ら変わりません。炊く時もどちらかと言うと水、米が冷たい状態から炊いた方が良いです。店では必ず浸水は冷蔵庫内でしていました。
冷たくする理由としては、季節に変化されなく炊飯で沸騰するまでの時間が長く稼げるからです。長くなるとどうして良いかと言うと炊飯中は米が対流しているのでその時間が長い方が米が立つ美味しいご飯が炊けると教わりました。今ひとつ上手に語源化されていませんが、この方がふっくらと炊き上がるイメージがあります。
③ 水切り
水切りは、ザルでしっかりと切る。ここは重要です。
④ 水量
水量は米1合(150g)に対して水130g、3合であれば水390g。計量はカップではなくてデジタル計りでグラムで計る。出来上がりの米の硬さは、ほんのり硬い具合です。
炊飯器のスタートボタンは急速炊きにして下さい。
何故ならすでに浸水は終わっているので炊飯器が行う浸水設定をカットしたいから早炊きにします。そして炊き上がったら直ぐにお酢に合わせる。炊き上がってか待つ必要はありません。
⑤ シャリ切り
ご飯が炊き上がったら直ぐにシャリ切りをする。合わせ酢の量は米150gに対して水が130グラムならば、酢は米の半量グラムの75gです。水も合わせ酢も全てグラムで計量して下さい。例えば米3合(450g)炊いたなら合わせ酢は225gです。
但し米の持つ水分量でも合わせ酢の量も変えないといけないかも知れませんが、私の経験上合わせ酢の量が多少前後してもあんまり影響が出ないと思いました。NYで働いた高級店では、シャリ切りをする時にペットボトル内に入っている合わせ酢を適当に入れていました。店は一切投入する量は決めていなかったのです
。
炊き上がったならば、直ぐに酢を合わせないと時間が経つにつれてご飯が酢を吸い上げる力が弱くなって行きます。そうなるとご飯の中まで酢が浸透できずに表面に酢がへばり付いていいるだけでベチャベチャしたシャリになってしまいます。
一流の寿司店はシャリ切り後に風は当てない
シャリ切り後に、よくうちわで扇いだりして風を当てているお店がありますがそれはやめましよう。風に当てる理由としては、余分な酢を飛ばすとか、シャリを光らせる為かと思いますが、ここで粗熱を取ってしまうとシャリは2時間温かい状態をキープできなくなります。シャリが光っていても冷めていているシャリではお客さんは喜びません。
酢を飛ばすということに関しては、私がお世話になった高級店は風は当てていなく、それでも誰もが美味しいと言ってくれました。ここはシャリの温度を優先しましょう。
そして、直ぐに湯煎で保温する器材に入れる。シャリの直上に乾燥防止に硬く絞ったサラシを広げて被せる。賞味時間は2時間、、湯煎の温度を60〜50キープできるようにする。2時間後に使う米の準備をしておく。
シャリ切りの裏技2023年バージョン
*ここ1年位、にわか巷でこういうのが言われ始めています裏技のシャリ切りを紹介します。
ご飯が炊けたらシャリを切る飯台に直ぐにご飯を空けずに炊飯器内のご飯に直接合わせ酢を均等に回しかけます。そして炊飯器の蓋を閉めて30秒そのままにしてから飯台にご飯を開けます。
するとどうなっているかと言いますと、この時点で9割酢がご飯に綺麗に混ざり浸透しています。つまり残りの1割を飯台の上で軽くシャリ切りをすれば、シャリの出来上がりです。このシャリ合わせの良い点は、切る回数が極端に少なくしかもちゃんと酢がご飯に合わさっている。
簡単に誰でもプロ並みにシャリ合わせができるという事。昨日入ってきたアルバイトの人でも、パートのおばさまでも職人レベルのシャリ合わせが出来ます。
一流のシャリの命を預ける適温保温
高級店はとてもシャリに気を遣っています。そして、シャリの賞味時間は2時間に設定をしています。2時間を過ぎますとシャリはパサパサになって死んでしまいます。具体的に言いますと乾燥した荒れている冬の肌みたいに。
温度管理もとても大変です。良いシャリは温度をしっかりと管理する事が大事です
シャリは、とにかく人肌の温度と炊き後2時間までが美味しいのは絶対であり間違いないです。先ず保温する機材の種類から選ばなければなりません。ここを失敗するとシャリを良い状態を維持することができなくなります。
私のお勧めの保温機は上記の写真になります。⬆️お湯を張って温めるタイプで、その張ったお湯が冷めないように低温の電気で優しく温めています。
しかし、60℃位の丁度良い温度の湯を入れても2時間位で温度は低くなってしまいますので湯を入れ替える必要があります。65℃以上の高温で温めているとシャリは乾いてしまいパサパサになりますので、60〜50度位の湯温がベストです。
後、炊飯ジャーの保温機に入れるのはダメです。保温機は普通のご飯もそうですが、ご飯を疲れさせてしまいます。私は家でご飯を炊いた後はすぐにバットに開けて湯気を出し切って冷まして冷蔵庫で保存しています。
この炊き立ての湯気をすぐに逃がしてあげないとご飯は疲れて不味くなります。
これは鉄則です。再び食べる時は、レンジに入れる時に少しご飯に水を掛けてあげて温めると炊き立てのようにツヤ飯になります。
シャリは、ネタによって温度を変えたいところですがお櫃(ひつ)の中に入っているシャリでも温度が若干温度差があると思いますので、それを自分で管理してコントロールして握るのが良いです。
手元に置いてあるお櫃(ひつ)の中に入れるシャリは10カン分位の量が入っていれば十分です。多く入れ過ぎるとシャリは冷めて使い物にならなくなります。それくらいずつ保温されている大元のシャリを保温している所からその都度持って来ると良いです、面倒ですが。
手間はかかりますが美味しいものを提供するには正直面倒な事ばかりです。美味しいものを提供する事とはそれができるか出来ないかの差です。
マッチングフォト、アプリ写真をプロに!まとめ
⚪︎ シャリの温度、時間管理をきっちり出来れば寿司のレベルは格段に上がる
⚪︎ 洗米回数は多くて3回まで
⚪︎ 1合=150g、水130g 合わせ酢75g
⚪︎ ザルで洗米、浸水、ザル上げ、水計量、炊飯、シャリ切り
⚪︎ シャリ切り後シャリに風を当てずに保温する
⚪︎ シャリを美味しい状態に維持させる為に保温機も見直す必要があります
最後まで読んでいただきましてありがとうございます。
今後も寿司関係の記事を書いていきますので、またお越しください。
ありがとうございました。
Kinji